私は「機能性低血糖症」という体質を持っています。
「機能性低血糖症」とは自律神経失調症の一種で、自律神経のコントロールが上手く出来ない人のことです。
　なぜ、「体質」という表現なのかと言いますと、この「機能性低血糖症」は2023年現在、「障害」ではないとされているからです。かつて「大人の発達障害」が障害扱いされていなかったのと同じように、たくさんの「生きづらさ」を抱えながらも「障害」として社会に認定されていない症状です。
　どれだけ就労に困難があっても、「障害」ではないのだから「障害者」ではないし、もちろん国の補助も下りません。
　実は、こういったものはよくあるのです。自律神経失調症は、「本人の努力次第で治る」と考えられていることから、健康保険が適応されません。「機能性低血糖症」の原因は、膵臓ではなく「腸壁の栄養失調」であると考えられています。ちなみに、この「腸壁の栄養失調」から来る症状としてもうひとつ、コルチゾールが欠乏し片頭痛や倦怠などが起きる「副腎疲労症候群」と呼ばれている症状もあります。これも、同じように障害として認められていません。つまり、腸の粘膜の材料になるものを摂り続けることで回復が見込まれると考えられているのですが、腸の粘膜の状態は外からでは分からないし、私も長年食生活に気を付けて生活していますが、10年経った今でもまだ回復しません。このまま就労できる状態にならなければ、当然生活保護という事になります（発達障害や潰瘍性大腸炎だけでは障害年金は下りません）。
　最近、発達障害の原因は「腸内細菌の生まれつきの少なさ」にあるという研究結果が出ています。「機能性低血糖症」の原因も腸内細菌の悪化によるカンジダ菌の増殖と、それに伴う腸壁破壊と回復に必要な栄養不足だと分かってきています。つまり、発達障害である私たちは「生まれつき」腸の壁が壊れやすいというハンデを持っていることになります。とくに女性は、自閉症の特徴を改善する「オキシトシン」という女性ホルモンが多いことから発達障害としての症状が目立たない場合があります。もしかしたら、「発達障害」としての症状よりも、この「機能性低血糖症」の症状の方が強く、発達障害として診断されずに原因不明の体調不良に悩まされて引きこもっている人もいるかもしれません。特に「副腎疲労症候群」からくるコルチゾール不足は、性ホルモンの変動が盛んな女性のほうが辛いと考えられますし、目まぐるしい変動に対応できず片頭痛などを引き起こしやすくなります。そういった人たちも社会で認められ、障害者として働くことができる社会になってほしいです。

参考資料：

・ Cell, 2013, VOLUME155, 1451p　Microbiota Modulate Behavioral and Physiological Abnormalities Associated with Neurodevelopmental Disorders（Elaine Y. Hsiao,Sara W. McBride,Sophia Hsien,Joseph F. Petrosino,Paul H. Patterson)
・ Journal of Immunology 2018 Aug 1;201(3):845-850 Critical Roles for Microbiota-Mediated Regulation of the Immune System in a Prenatal Immune Activation Model of Autism ,Catherine R Lammert, Elizabeth L Frost, Ashley C Bolte, Matt J Paysour, Mariah E Shaw
・ 腸内細菌学雑誌　32 : 7-13，2018うつ病・自閉症と腸内細菌叢(功刀　浩/国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部)
・ 発達障害の内科的治療の手引,2022, マリヤ・クリニック院長柏崎 良子, ヨーゼフ出版, ISBN-10: 4904198085
・ 発達障害は食事でよくなる(青春新書インテリジェンス) | みぞぐちクリニック院長溝口 徹,2019 ISBN-10: ‎ 4413045793
・ 心と脳の不調は副腎ケアで整える 「うつ」「認知症状」「発達障害」に効くホルモンのパワー (祥伝社黄金文庫) 祥伝社,2016,スクエアクリニック院長 本間良子, 本間龍介
・ 「老い」と腸内環境の関係とは？便秘は認知症を悪化させ、がんの要因に | ニュース3面鏡 | ダイヤモンド・オンライン,p5（順天堂大学名誉教授・特任教授　佐藤信紘、国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部室長　佐藤和貴郎）https://diamond.jp/articles/-/303366?page=5