2025/06/13 09:08
最近、リンパの資格を取得しようと考え、勉強をしています。
今回は復習を兼ねてリンパについてご紹介していきたいと思います。
リンパとは免疫や排泄にかかわる機能のことです。「リンパ」という言葉の語源は、ラテン語の「ニンフ」に由来しています。この「ニンフ」という言葉は、もともと「澄んだ水」「泉水」「水の妖精」といった意味を持っていました。
1.リンパと免疫
白血球には顆粒球、マクロファージ、リンパ球がある。顆粒球は体のいたるところに存在し、大型の異物を飲み込む。マクロファージも体のいたるところに存在し、細菌や異物をまるごと飲み込み、また、顆粒球やリンパ球が外敵と戦った残骸も飲み込む。また、外敵が侵入すると「サイトカイン」と言う物質を放出する。リンパ球はリンパ器官に存在し、小さな細菌やウィルスを攻撃する。
リンパ球にはT細胞、B細胞、NK細胞がある。T細胞は胸腺でつくられ、外敵を見つけると分解酵素などを出して攻撃する。B細胞は抗体を作る。NK細胞は主にがん細胞を攻撃する。
白血球は、マクロファージが約5%、約60%が顆粒球、約35%がリンパ球でできている。顆粒球はアドレナリンに反応して増え、リンパ球はアセチルコリンに反応して増える。リンパ球の最適な比率は約37%で、体温が36.5度から37度くらいの状態でないとその割合を保つのは難しい。
2.リンパ器官
一次リンパ器官:骨髄・胸腺
二次リンパ器官:脾臓・リンパ節・扁桃・虫垂・小腸のパイエル板など
一次リンパ器官ではリンパ球が作られ、二次リンパ器官は免疫反応の場になる。リンパ球の元は骨髄で作られ、胸腺・腸管・肝臓などの免疫組織内で分化が完成しリンパ球となり、必要に応じて細胞分裂を繰り返す。
古くからある免疫組織:涙腺・扁桃・耳下腺・顎下腺・乳腺・皮膚・肝臓・腸管・虫垂・子宮
魚類以降に「上乗せされた」免疫組織:胸腺・リンパ節・脾臓
3.からだの水分とリンパ液
からだの水分の約2/3は細胞内液である。1/3は血液、組織液(細胞と細胞の間を満たしている)、リンパ液である。血液の約90%は静脈を通って心臓に戻るが、10%は毛細血管からしみ出して組織液となる。組織液は毛細血管から栄養と酸素を細胞に運び、80~90%は血液に戻り、10~20%は細胞の老廃物を血管やリンパ管に運ぶ。組織液がリンパ管に入るとリンパ、あるいはリンパ液と呼ばれる。リンパ液は黄色みがかったほぼ透明の液体で、その内容はリンパしょう、リンパ球、タンパク質など。
リンパ液の流量は1日あたり約4~8リットルで、流れる速度は秒速0.5cm以下、分速24cm前後。
4.リンパ管
毛細リンパ管の細胞の壁には係留フィラメントという細い繊維があり、それが周囲の細胞にくっついている。細胞間が組織液で満たされて圧が高くなったり、筋肉運動や外圧によって係留フィラメントが引っ張られると毛細リンパ管の壁の細胞に隙間ができて、そこから組織液が流れ込む。
リンパ管には静脈と同様、逆流しないように弁がついている。弁と弁に区切られた部分を「リンパ管分節」といい、これらの分節が収縮・弛緩する事でリンパ液が送られるが、骨格筋の動き、呼吸、腸の蠕動、動脈の拍動、血流の影響などによってリンパ液が流される。
毛細リンパ管は前集合リンパ管を経て集合リンパ管となり、そしてさらに太いリンパ本幹につながり、最終的には右リンパ本幹と、左のリンパ本幹である胸管(長さ35~40cm、人体最大のリンパ管で1日あたり2~3リットルものリンパ液が流れているといわれている)の2本のリンパ本幹となる。2本のリンパ本幹は、頸部の右と左にある静脈にそれぞれ合流する。
リンパ管は顔や口腔内、唇、外陰部などに多く、背中などは密度が低い。比較的よく動かす部位に多く存在する。眼球、脊髄、軟骨、骨にはリンパ管はほとんど存在しない。
5.リンパ節
1.リンパ節とは
全身には600~800個ともいわれるリンパ節があり、そのうちの100~200個は腸間膜に存在する。リンパ節の形は丸・楕円・そら豆などのような形をしていて、大きさは直径約0.1~3cmくらいまでと様々。鼠経リンパ節は大きく丸い、外腸骨リンパ節は大きく長い、内腸骨リンパ節は小さく丸い、左右の腰リンパ節は大きく長い。リンパ節はたいがいグループのように集まっており、とくにからだの表面に近いところは多くのリンパ節の集合を形成している。リンパ節は年齢に伴う数の減少はみられず、手術で除去した場合再生されない。
リンパ節には、リンパ液が入っていく輸入リンパ管と、リンパ液が出て行く輸出リンパ管がある。輸出リンパ管のほうが数が少なく、太くて弁が多く、内径が不規則である。また、リンパ節には動脈や静脈が通っており、そこから栄養が供給される。
2.リンパ節の働き
リンパ管を流れてくるリンパには、老廃物、疲労物質、細菌やウイルスなどの異物が混ざっている。リンパ節ではマクロファージなどの食細胞が老廃物、細菌などを取り込んで処理する。また、リンパ節にはリンパ球がたくさん詰まっていて、リンパ球は免疫反応によってウィルスや細菌を攻撃する。濾過しきれなかった異物は最終的に静脈に運ばれて腎臓で処理される。免疫反応によって作られた抗体は血流に乗って身体中を流れる。
3.主要なリンパ節
・耳介後リンパ節…側頭部からのリンパが集まる。
・耳下前リンパ節…前頭部、顔の上部のリンパが集まり、顎下リンパ節や首の深部リンパ節に流れる。
・後頭リンパ節…頭頂部や後頭部の頭皮からのリンパが集まり、首の深部リンパ節に流れる。
・オトガイ下リンパ節…下唇の周りのリンパが集まる。
・顎下リンパ節…顔面・鼻・口(口の中・舌・歯)・唇・顎などのリンパが集まり、首の深部リンパ節に流れる。
・肘窩リンパ節…指先から肘までのリンパが集まる。ただし、親指と人差し指からのリンパはここを経由せずに直接腋窩リンパ節に流れる。
・腋窩リンパ節…手と、おへそから上のリンパが集まる。乳がんが転移しやすいリンパ節として知られている。
・膝窩リンパ節…つま先から膝までのリンパが集まる。
・鼠経リンパ節…おへそから下の下半身のリンパが集まる。
・鎖骨下リンパ節…リンパの流れのゴール付近にあるリンパ節で、リンパはこのあたりから静脈に入る。
6.全身のリンパの流れ
筋肉の上の浅い場所にあるリンパ管は表在リンパ管と呼ばれ、表在リンパ節につながる。表在リンパ節はさらにリンパ節を経て筋肉より深い場所に進み深部リンパ管(リンパ本幹)となる。表在リンパ管が深部リンパ管に入る経路は限られており、重要な部分は頸部、腋窩部、鼠径部。
両足・骨盤・腎臓などのリンパは左右の腰リンパ本幹に集まり、左右の腰リンパ本幹は腹部で合流し乳び槽という部分に進む。腸管など腹部の内臓のリンパは腸リンパ本幹に集まり乳び槽に合流して、ここから胸管となる。小腸にあるリンパ管は長鎖脂肪酸を吸収・運搬する働きをしている。このリンパ管を流れるリンパ液は脂肪滴を含んで乳白色をしているため「乳び」と呼ばれる。小腸における消化物のうち、長鎖脂肪酸だけはリンパ管経由で鎖骨下静脈に運ばれる。乳び槽は、全身のリンパ液の約4分の3が最終的に通過する。
左頭頸部のリンパは左頸リンパ本幹に、左手・左上背部・胸のリンパは左鎖骨下リンパ本幹と左気管支縦隔リンパ本幹に集まる。これら3本のリンパ本幹は胸管に合流し、左静脈角から左鎖骨下静脈に入る。
右頭頸部のリンパは右頸リンパ本幹に、右手・右上背部・胸などのリンパは右鎖骨下リンパ本幹と右気管支縦隔リンパ本幹に集まる。これら3本のリンパ本幹は右リンパ本幹に合流し、右静脈角から右鎖骨下静脈に入る。
7.リンパ系
リンパ管・リンパ器官を総称してリンパ系とよぶ。
リンパ節で処理しきれなかった老廃物はリンパ液とともに鎖骨下静脈から血液に入り、肝臓・腎臓を経て排泄される。
参考:リンパケア検定2級 公式テキスト